「時をかける少女」
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2007/04/20
- メディア: DVD
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「帰らなきゃいけなかったのに、いつのまにか夏になった。お前等と一緒にいるのが、あんまり楽しくてさ」。
訥々と語られる言葉が、繰り返される響きが、ちりちりと真琴の胸を焦がす、「青春」映画。良作!
面白い面白いと、噂は聞いていましたが、想像をはるかに上回る良作でした。積極的に、むしろ身内には問答無用でオススメしたい。「アニメじゃん」とかって偏見を持っていると損するYO!
真琴はひょんなことから得たタイムリープの力で、小さなやり直しを繰り返す。最初は妹が食べてしまった、自分の分のプリンを食べる為。それから学校で起きるアクシデントを回避する為、時間を遡る。一つ一つは些細なことで、彼女は悪気も感じない。
でも彼女が回避した出来事は消え去ったわけではなくて。彼女が経験するなにかを、別のどこかに、別の誰かに「肩代わり」されているだけだと気付く。真っ直ぐに進んでいくはずだったものを歪めた、その皺寄せが、ある時、最悪の形で彼女の前に現れる。
映画の内容はまあ、もうこんなもんで充分だよね。もう散々あちこちで語られているだろう。私の拙い言葉なんか、全然要らない。あとはもう見て、と。面白くて、楽しくて、かわいくて、切なくて、ちょっと苦しい。鳥肌立つほど、最初っから最後までキュンキュンしっぱなし。もう最後、思わず泣いちゃったよ…。本当に、すごかったです。この作品を作ってくれたスタッフの皆さん。ありがとう、感動をありがとう。薄っぺらな言葉で申し訳ないが、本当に感動した。本当に素晴らしかった。感想雑記として最低なレベルだが、これが一番素直な感想です(笑)。
真琴。それから、真琴の幼馴染らしい功介と、転校生で最近仲良くなったらしい千昭。主要キャラクタはその三人。主人公の女の子と、男の子二人。三人という人数は、中がどういう構成でも「難しい」人数ですが、男女となると少し微妙な距離感が漂います。その関係性が絶妙なのです。この感じに、本当にキュンキュンしっぱなしだったですよ。切ない! 甘くて切ない!
真琴が今時の子にしては、多分ちょっと幼くて、色々と疎い。それは多分、真琴が無意識に現在保っている関係を壊さないようにしている部分もあるんだと思う。考えようによっては卑怯な話だが(苦笑)、やっぱり幼いから、まだそういう色んな難しいことが「回避」されているんだよね。多分、功介と千昭はそれを察して、自然に気持ちを汲んで、真琴を大事にしてるんだよね。真琴が彼等を、真琴なりに大切に感じてるのと同じに。それがたまらなくかわいくて、いとおしいのです。いいなあ、本当にかわいいんだ(*´Д`)。
以下は映画の内容とはちょっと話がずれますが。
主要3人のキャストが、どういう履歴の方が存じませんが、みんな良い意味で「普通さ」が活きている、そんな配役だと思いました。なんとなくプロの、場数を踏んだ声優さんじゃないような感じがあって、それが独特の味わいになって、すごく良かったです*1。
たとえばこの作品のような、当たり前の高校生が、当たり前の日常の中で、当たり前に友達と会話する時。みんながみんな、歯切れよく言葉を発しているかといえば、それは多分「NO」。日常の中では、別に舌ったらずな人じゃなくても、もっとラクに、適当に、ぶつぶつと、話したりしている。そういう日常の中にある「生っぽさ」を、プロの声優さんとしての場数を重ねてない人は、持っている気がする。そういうスキルでないものを素材として生かせるなら、多少舌ったらずだったりする方が、リアルなキャラクタに見えてくることも、やっぱりある。素朴さとか、自然さ、新鮮さとか。そういう味わいが作品の個性にもなる。今回は、そういう感じなのかなと思って、彼等の声を聴きました。
これはもう良し悪しじゃなくて、好みの問題でもあると思うけど。あんまり鍛えられてない、当たり前の声質。当たり前の喋り方。リアルだけが全てじゃないけど*2、スキルフルじゃない声の良さもあって。この作品の空気感には、あのふんわりした感じがとても自然に似合っているように思えて、私はとても胸を突かれました)*3。