第30節、浦和戦。

 レッズ戦4連敗。現在リーグ首位を走る浦和を相手に、前節までのチームを立て直して善戦した、見るべきなのかもしれません。特に守備ラインは、ワシントンをとにかく押さえ込もうというような、気持ちは見えた気がします。結果としては負けてしまいましたが、これは現在のチームの状況、順位的なものを考えると順当な結果が出てしまった、という感じがしています。それにしても、現状では、本当に点を取るということは、難しいことなんだね…。
ゲームレポート→【http://www.f-marinos.com/topteam/report/?code=1162885275



 で。こちら↓を偶然に拝見しまして。ああ、そういう意見もあるかなぁと思いました。以下引用。

マリノスとしては、展開力のある上野、ラストパスを出せる山瀬、サイドを個人技で崩せるドゥトラや吉田(隼磨)らが、フリーで敵陣を向いた状態を作りたい。けれども、レッズ(のような守備の強いチームが)が落ち着いてボールを回し、組織的な守備で中盤にスペースを与えてこないと、マリノスの名手達は思うように前を向けない。それを打破するためには、敵のボールを跳ね返す対応をする河合のような選手ではなく、(例えば啓太のように)自ら能動的にボールを奪い取りに行く選手が必要になる。ところが、豊富な選手層を持つマリノスだが、不思議にそのような選手がいないのだ。啓太とか今野とか明神のように代表クラスとまでは言わないが、中盤でよく動いて敵MFに自ら絡んでまとわりついてボールを奪いつなぐ選手、ジェフの坂本とか、トリニータの梅田とか、FC東京の浅利とか...そのような選手が1人でもマリノスベンチに座っていれば状況は改善するのではないか。しかし、あれだけ質の高い守備選手を多数抱えているマリノスとしては、わざわざそのような人材まで補強するかと言うと... →【blog武藤文雄のサッカー講釈

 それが全てではないとも思うのだけど、横浜には比較的似たタイプの守備陣が揃っているという指摘には、なんとなく頷くものがありました。今回の浦和戦も、膝の負傷がまだ癒えない松田を中心に*1、最終的には守備陣がそれぞれの個の力で、水際で懸命に耐え抜いた結果が、0-1というスコアになったような気はしましたよ…。
 実際、二桁順位をふらふらと彷徨って勝てない勝てないと言いながら、横浜は驚くほど失点が少ない*2。チーム全体がどうもちぐはぐに見える横浜なのに、この失点数で済んでいるのは、やはり守備陣が最後の最後では体を張って跳ね返している結果なのかなと思います。褒められる内容でないこともあるけれど(…)、それでもここまでの数値を見ると、水際でボールを跳ね返し続ける守備陣の奮闘は見えてくる。そしてこれまで、なんとか彼等が守れてしまってきたからこそ、結果として根本的な対応に遅れが出ているのだろうかと、勝手な推察ながら考えてしまいました。なんだか贅沢な悩みだな…*3
 ただ、来季どういう方向にチームを改善させていくにせよ、まだ今季が終わっていない以上、なんとか今のメンバーで、今の状況を改善させていかなければならないわけで。



 浦和戦の前の情報で、水沼さんの記事でこんな一文が上がってきていました。今になって改めて思い出して、考えてみる。

「3枚にすれば落ち着く。でもそれでは何も起こらない。落ち着きたくないんだよ、おれは」
 安定感は数的優位から生まれる。監督に言わせるとそれこそが元凶だ。「人数が足りているという意識が運動量を少なくして、展開を間延びさせる」。サイドDFの攻撃参加で時に2バックにもなる布陣を採用することで、あえて危険にさらしたいのだ。人が足りなければ動かざるを得ない。それが攻守を活性化し流れをつくる。「やられる可能性はある。けれど、どこかで変えないと」 →カナロコhttp://www.kanaloco.jp/jleague/entry/entryxinov4/

 安定を捨てても、「変えていかないと」という意識。他で去就を取り沙汰すような記事も上がっているように、水沼さんの中には「今やらないと、絶対に後悔する」という強い気持ちがあるのだと思うのです。文字通り、監督としての進退を掛けていて、明日があるのか判らない。だからこそ、やりたいと思ったことは一つ残らず挑戦しよう、多分そんな気持ちでいらっしゃるのではないかと。そういう記事だと思いますが。
 失うものはなにもないと言うけれど、やっぱり誰でも失敗するのが怖かったり、なんとなくこれまでにあったものをかなぐり捨てて進んでいくことに躊躇いがあったりするのだろうと思うのです。でも、今進まないと、後がない。そう思うから水沼さんは安定を捨てるという決断をしている。その意識・意欲に対して、選手はどこまで応えられているのかなぁと、ふと思います。選手全員が、本当に明日があるのか判らない、「後がない」という切迫した意識で前を向けているのか。その辺りに、水沼監督と、僅かに温度差があるように感じる。勿論選手は頑張って、現状を改善しようとしてくれているとは思うけれど*4。それでもどこかには、まだ「この辺かな」と探りを入れるような、妥協に似たぬるい空気感があるのかもしれない、そんな風に見ていて感じてしまうこともある。



 優勝も降格もない今だからこそ、大胆になれる、いいタイミングかもしれない。
 なにも変わらないままなんとなく試合をして、なんとなく今日は勝てた(あるいはまた負けた)ではない、一石を投じるようなものが必要なのじゃないかなぁと見ていて思います。そこに水沼さんが4バック*5という一石を投じた。応えるのは選手の皆さんだから、もっと大胆に、挑んでみて欲しいなと思わずにはいられません。

 大きな変化を得る為に、多分本当に必要なのは、まず、なにかを投げ入れてみる、という行為そのものなんだろうと思う。変化に必要なのは、黒を白に変えるような「大きなこと」じゃない。選手一人一人がなにかをやってやろうと意識的になる、あと一歩を惜しまない気持ちとか、実はそういうものなんじゃないだろうか。あと一歩強く前にプレスに行くとか、誰かがボールを持っている時にあと一歩早く前に走り出してみるとか。そういう小さいことの積み重ねが、結果として、大きな変化の呼び水になる。だから必要なのは、大きなものではなく些細な、呼び水になるだろう行為。
 言うだけでなく、「実際行う」ということがどれだけ大変か、判らないわけではないけれど。浦和戦の最後の最後には、全員が押し込んで行こうという勢いがあったように見えた。それは変化の兆しになりうるのじゃないだろうか。ああいうことが、あと少し、試合の最初から見せられれば、なにかが変わるような気がする。出来ないことをやれと言っているわけじゃない。横浜は、やれば出来ると思うんだよ。実際、この浦和戦では、最後少しだけど、それが見えたから。きっと変われるはず。というか、変わらないといけない。
 人一倍走る選手がいる、でも走らない選手がいれば、チームとして連動しない。今年、横浜の試合を見ていてもどかしく思うのは、いざという時にやろうとすれば出来るのに、なかなかそれを見せてもらえないことです。同じ相手に、何度もやられることの悔しさや腹立たしさは、本当に心に深く残るもので(…)。それをうまく言葉に出来ないほどです。やっぱり悔しい。何が違い、何が足りないのだろうと言い出せば、全てが違い、全てが足りないような気がし、では足りない何かをどう補えばいいのかということを考えると、それは簡単には埋められないものだということも、漠然と判っていて。欠けたり萎んだりしてしまったものは簡単には補えないから、このような現状を迎えている。そのことに、首位の浦和と対戦したからこそ改めて確認出来てしまった気がして、一層やりきれなかったよ。でもそれ以上に、今年の横浜というチームそのものに、無性に気持ちがもやもやとするのです。

 躊躇って踏み出さず、変わらないでいるくらいなら、時には思い切り失敗するくらいのことがあっても、いいんじゃないかなぁ…。会場で選手に送られ続ける手拍子や歌声が、選手の背中を本当に押してやれればいいのにね。いっそ引っぱたくくらいの、有無を言わさない強い力で!(苦笑)
 私も会場へ、選手の背中を引っぱたきに(当然ながら比喩)、駆けつけたいですよ…!*6

*1:復帰して本当に大丈夫なのか、正直心配で仕方がありません…

*2:この辺りなど見て、正直びっくりした…。→【http://www.j-league.or.jp/data/2/?league=j1&genre=aggregation

*3:いやそうでもないな…

*4:このブログでは何度も言うことですが、そこを疑いだすと本当に切りがありませんので、そこは信じます。信じていさせてください>選手の皆さん

*5:まあ色々システムそのものや、選手の起用等に賛否それぞれの意見もあるだろうと思いますが

*6:というか頭痛いといいながら、こんな時間にまたPCに向かっている自分おかしい! そんなに浦和戦敗戦が心残りだったのか>自分。←YES!w