NIGHT HEAD GENESISに描かれる死。

 GyaOで放送が始まっている「NIGHT HEAD GENESIS」をちょっと追いかけている。NIGHT HEADというと、もうかなり大昔に深夜で放送されたドラマが、カルト的な人気を誇った作品ですが、それのアニメリメイク版です。それがさ、ちょっと視聴を溜めてまして。今、三話を見ているんですけど*1。弟の直也が見るヴィジョンが、具体的にアニメ映像になるのって、すっごくグロいね…。
 これ多分、作画の問題でグロく描いているのではなくて*2、私の感じ方の問題なんだろうと思って、勝手にその辺を面白く見ています。多分、実写とアニメでは、私の中で死というものの記号の読み取られ方が、多分違うんだよね。

 そもそも私は原作であるドラマも、その後の映画も、そんなにグロいと感じて見たことはなかったんです。人が死ぬシーンが作中、沢山出て来る作品だということが判っているので、最初からある程度気持ちの面で覚悟して見るし、ドラマや映画は役者が演じている以上、それは本物ではないということが判っている。どんなにリアルに描いても、それは「演技上の死」。つまり私は、死を演じる役者に、「死という記号」を読み取る。
 いわゆる「お約束」というもので、それは当たり前のこと。

 だけどアニメは少し違って、作中で生を描いても死を描いていても、それは大元では同じ「絵」だから、アニメの中で死が描かれる時、それは本当に、「でも本当は生きてるのだから」という気持ちの上での逃げ場がない。アニメの中で「死」という記号が描かれる時、それは嘘も本当も隔てのない「死」だ。「死」は「死」だと突きつけられるから、多分、ドラマや実写より、怖いと感じる。そういうことなんだと思った。
 どちらもフィクション作品の中で作られた「死」なのに、私にとっては、より作られたフィクションであるアニメの方が、実写メディアより「死」の記号をリアルに感じられる。これってすごい逆転ホームランじゃないか(違)。
 TBSの土曜夕方6時枠のアニメーションで、このところ、今までの夕方アニメでは避けられていた、生々しいものを描く作品が続いている*3
 少年少女を主人公にした作品だからといっても、戦争を描けば当然「死」は避けられないし、追い詰められた状況下にあれば、人は精神的にどこかで狂ってくるし、当然男と女がいればそこに恋愛(とその先にある肉体関係)も生まれるだろう。それは当然の話。多分誰もがそれを当たり前だと思っているけれど、生々しいから見たくないとか、あるいは大人としては子供にそれを見せたくないとか、色々な感情や思惑がからんで、今までそうしたものは、少なくとも積極的に描かれることはなかった。BLOOD+の放映が始まる以前、特集番組で番組スタッフ*4が、「今、それを避けずに描くことをしたい」というようなことを言っていたのを記憶しています。私はその話を聞いた時、「仰りたいことはよく判るが、しかし敢えてそこまでやるか」的に思う部分もあって、その意味に対して、半信半疑なところがあったのですが*5
 今になってなんとなく、アニメだからこそ描く、という発言の真意が、別の意味でわかったような気がしました。アニメだからこその「死」。アニメだから生も死も同じ次元で語られて描かれてしまうから「死」が軽くなる、死が簡単に扱われすぎる、という考え方もあると思うのだけど、誰が演じた「死」ではない、アニメ(あるいは漫画とかでも)の「死」だからこそ、リアルを感じられることもある。
 そういうことなのかなと思いました。



 でもやっぱりアレだ、少なくともNIGHT HEAD GENESISという作品においては、直也の見るヴィジョンが、「彼に絶大な恐怖を与えるもの」「人間の醜い感情」だからこそ、とりわけ容赦なくグロく作画されるんだよね。そういう現実的な部分も大きいよね…。絵が怖いんだよ…。
 とりあえずドラマ・映画版同様、アニメ版の直也も見ているこっちドン引きくらいの勢いでひーひー泣いてて、GJ! と思いました(笑)。個人的には石田さんだと声の質がきれい過ぎて、あんまりキモくならない*6かなぁと思っていましたが、そうでもなかった(笑)。ちゃんとキモいくらい演技してくれてた。流石はプロの声優さんです。石田さん頑張ってるよ石田さん。



 そういえばNHKはいつ私にSAMURAI7を見せてくれるのでせうか。次回放送を心待ちにしちゃってるんですけど! 

*1:どうでもいいけど、GyaOは本気で重過ぎるよ

*2:いや勿論、恐怖を誘う映像としてのグロさは要求されているし、それは当然あるんだけど

*3:具体的にはガンダムシードとか、鋼の錬金術師とか、今放送されているBLOOD+とかです

*4:プロデューサーだったのか監督だったのか忘れました

*5:表現の仕方の問題も絡んでくるしね

*6:直也はキモいくらいでナンボの役ですから!