浅田寅ヲ「パイドパイパー」6巻
- 作者: 浅田寅ヲ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2006/06/24
- メディア: コミック
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【追記】ごめん、↑これ表紙だけ確認して来ましたが、嘘でした。1巻表紙が夏くんだったよ。夏比古で「日本国旗」一つのデザイン。これは夏比古の国籍が「日本」だからこそのデザインなんだろうけど、雅楽のお家の息子さんという設定もあって、「純血」であるというミスリードの効果を、意図的に生んでいるってことだね。今にして思えば。(追記終わり)
もしかしたら、あの終わり方に関して、賛否があるかもしれないなと、一読した限り、思ったりしています。ただ個人的には、とても「寅ヲらしい」結末のような気がしました。商業媒体で、長編オリジナル作品を完結させたのは、これが初めてなのに「寅ヲらしい」などというのもどうかと思いますが、これが素直な感想です。非常に寅ヲらしい、と思いました*2。
バイオレンス作家と、自らのことを称したりしている寅ヲではありますが、その裏に、牧歌的なまでにハートウォーミングな味が隠れもせず存在していて。今回も、そういう部分が嫌味なく表れていたように思います。25や、25の知彦関係、また瑛二の家族に対する感情の変化など、実は丁寧に描いてあって、私は好きでした。
あれが用意した結末だったのか、あるいは夏比古がやろうとしていたことが「ああしたこと」だったので、連載ストップが出たりしてしまったのか(!)、知るよしもありませんが*3。ああした終わり方であるからこそ、読者が発展的な想像を膨らませていく自由もあるような気もします。最後の章での瑛二が、一瞬「オリラジの眼鏡にやや似…!」と思って、ほやーんとしてしまったことはここだけの秘密(笑)。夏くんのお父さんお母さんは、なんとなく想像がついていましたけれども。最後、そのお二人が写真を覗いているシーンが、なんとなくコミカルなような、笑っちゃいけないシリアスなような、絶妙な味があって。その絶妙さこそが、浅田寅ヲなんだよなと思わせる、実に象徴的なシーンに思えました。ははは。ナイくんもナイのまま上も相変わらずだし、別の意味で明浩くんは最初から最後まで相変わらずで(…!)。本当は彼等が、特に夏くんや明浩くんが今後どうなるのか知りたい気持ち、そして出来たら全員が文句なしに幸せになるシーンが見られれば、それが一番嬉しいけれど。それはあまりにも「都合が良すぎる」ということも良く判る。あの結末が、用意出来る最良なのかなぁなどと、想像したりしています。
ああああ、今まで本当に楽しかった…! きちんと「結末」が読ませてもらえて、本当によかったです! 寅ヲさん素晴らしい作品をありがとうー。そしてお疲れさまでした! とりあえず今はゆっくり休養して、連載のお疲れを癒してくださいー。次、またどこかで何かの連載が始まって、楽しませてもらえる日を、今から待つばかりです。
ああ、また最初から読み直すよ! 細かい伏線を拾いまくって、自分なりの解釈をしまくるよ…! 噛めば噛むほど味が出るするめのような漫画だ!(違!)