12節終了。リーグ一時中断。

 千葉戦。もしかしたら「最悪、サンドバックにされる可能性も…」と、道中覚悟を決めて会場入りしたのですが。終わってみれば、1-1のドロー。最悪の可能性ばかりが脳裏に過ぎっていた私としては、いい意味で肩透かしとも言える結果で、試合後はちょっとぼんやりしてしまいました。

 このドローという結果を、正直どう受け止めたらいいのか。少し複雑な気持ちでもあります。あの日の千葉のコンディション的なものや、改めて試合のデータを見ても、勝てる試合だったのじゃないかなぁと思う。こちらはホームだったし、リーグ中断直前、最後の試合だっただけに、何をおいても悪い現状を払拭する足がかりの勝利が欲しかったことは間違いない。
 でも「惜しい」と強く思う感慨は、少なくとも私には生まれてこなかった。
 これまでのチーム状況を振り返ると、このドローさえ、「よく頑張った」という結果にも思えます。千葉に先制されて*1、その後、諦めずに追いつけたこと。また90分通して、試合の内容を考えても、それまでの試合に比べて随分選手達のやりたいことがまとまって整理されたようにも思いました。連戦で試合間隔の短い中で、よく立て直したのじゃないかと思った。そういう意味で、ある程度の評価も出来る試合だったようにも思うのですが…。視点をどこに置いて試合を見るかによって、大分感じ方や評価が分かれてくる一戦だったように思います。チームの状況がよくない時というのは難しいね…。

 本当に苦しい状況なんだなとは、改めて思いました。そこで思い切って打ってしまえという状況でも、妙にもたついてしまう*2というシーンが、度々あったように思います。全体に調子の良い時というのは、玉離れがよくて、選手も迷わず一つ一つのプレイをこなしている印象が、私のような人間でさえ見ていても感じられます。今はそれがない。一つ一つが、もたついている。遅い。判断が遅い時というのは、おそらくそこに迷いがあるから遅くなる訳で、そうした部分が余計にミスを招いたり、自分達から難しい状況を作ってしまう原因なのだろうなと思います。そういう時こそ簡単にとか、思い切ってやれとか、見ていると思ったりしますけど。それが出来ない状況になっているのが、今の横浜なのだと改めて感じたりしていました。
 今は、チーム全体でなにをしようとしているのかが、本当に見えて来ない。本当に自信を失ってしまっているんだなぁ…。何をしていいのか、選手達が見当が付かないまま、試合に臨んでしまっているのなら、先が見えるはずもないよなあと思う。その状況で千葉と対戦してドローで終えられたことや、これで中断を迎えることは、こうなると不幸中の幸いなのかもとも思います。不謹慎を承知で言えば、いっそプライドずたずたくらいに負けた方が、ショック療法になったかもしれないけども。…いやでもそれも恐ろしすぎるな…。



 一つ言えることは、岡田さんの志向した「選手が自主的に考え動くサッカー」をするには、多くの時間がかかり、今の横浜の選手はそれが出来ない、ということ。それだけははっきりと判りました。いずれは出来るようになるかもしれない、でも少なくとも今は出来ないし、出来ていない。そうするように努力することも、難しい状況にあるということ。
 岡田さんは横浜の選手になら、そういうことが出来ると思ったのかもしれないけれど、現状の成績を見ると、残念ながらそうではなかったと思わざるを得ません。これは本当に残念だけれど。
 指示があって、言われたことを忠実に守ることや、明確な狙いや方向性を元に動いていくことは出来る。それが出来たからこそ、岡田さんが就任した一年目で華々しい結果を出せたのじゃないかと思います*3。そうした点を見ても、選手それぞれの技術であるとかは、疑うべくもなく高いものがあるチームなんだと思う。
 けれど、自主的に考えていくサッカーをするには、選手達は与えられることに慣れすぎてしまったのかもしれない。岡田さんという、選手をモチベートする部分に長けた監督が来て、当然ながら選手は監督の言うことを信じて動く。選手が監督を信頼することは、ある意味で当たり前のことだけれど、強烈な指導者の存在があったことで、もしかしたらどこかで、選手は考えることを委ねすぎてしまってきたのかなと思います。想像でしかありませんが。その場の勝ちを拾う為に、岡田さんが指導するやり方を、選手は忠実に実践して来た。でもその影で、自主的に考えるという部分が、徐々に失われていたのかもしれないと思います。逆に言えば、それだけ岡田さんの指示が信頼に値する、結果を残し得るものであったからこそだとは思うのですけど。



 同じ監督と、殆ど変わらない選手構成。けれど、やっていることがあまりにも違うなら、それまでと同じチームにはなり得ない。それは当然のことで、そうした中で思うように結果が出て来ないのは時に仕方のないこと。多少のことは目を瞑っても、チームが変わっていくのを待ちたいし、信じたい気持ちはある。けれど無自覚のうちに蔓延した自主性の欠如は、予想以上に根深かった。おそらく監督や選手自身も、その点に戸惑ったままずるずると12節まで来てしまったのではないかと思うのですが…。
 多分、3年間ずっと、光の当たらなかった部分なんだと思うのです。今までの3年間で光の当たって輝いて見えた部分や、一定の評価を受けた部分の影に、この問題が長いこと横たわっていた。誰もそこに目をやろうとしなかっただけで、おそらく最初からあったのでしょう。岡田監督4年目の今年、やっとそこに光が当たった。他に比べて、あまりにも脆弱で拙いその部分をどう埋めるのか。メスを入れるなら、この中断期をおいて他にないと思います。
 選手が自主的に考えて動く為に、選手の意識付けを変えていくのには、非常な時間がかかる。少なくとも3年疎かにしがちだったものを変えるのですから、相応の時間と努力が必要になるのは仕方がない。
 何がしかのてこ入れが必要ですが、一体それがどういう方向性のものになるのか。プロである限り、勝敗はなおざりに出来ない問題ですから、ある程度現実的な方法に方針転換する必要も出て来るとは思います。
 ただ、これからどういう修正が加えられるにせよ、選手の皆さんには「自主的に志向するサッカー」を出来る為の意識は、失わないで欲しいなと思う。現実に、そうした方向性をチームで追わなくなったとしても、どんな方向のチーム作りをしたとしても、サッカーのベースは変わらないから。主体的なサッカーを志向しないとしても、自分達で考えて動くことの出来るチームになって欲しい。今年挑戦して、今のところいい結果は生まれてはいないけれど、「今出来ていない」からと言って、これだけは、もういいやと諦めて欲しくない。人任せじゃないサッカーが、横浜にだってきっと出来るはずだ。誰かに預けてしまえばそれで終わりじゃない、言われたことをやるだけでもない。サッカーって、もっと自由に挑戦出来る、楽しいものじゃないかと思うんだ。
 どんなサッカーをしていても横浜は横浜だけど、どうせならもっと楽しくサッカーしているところが見たい。主体的なサッカーを出来るようになれば、もっともっと、やっている選手自身が楽しくなれるはずだから。


 露骨に、全然頭の回っていない感じの文章ですみません。嗚呼。

*1:やられちゃいけないとは思うが、しかしそれ以上にあのシーンは、山岸がビューティフルだったと思う…

*2:そして相手に囲まれてボールを奪われたり、パスミスになったり

*3:まあ運とか、他にも要素は沢山絡んでいたとは思いますけれども