課せられた使命。 第8節、G大阪戦。

 横浜というチームと対戦するに際して、おそらくG大阪でさえ、ここまで点の動く試合になるとは思っていなかったのではなかろうか…。取って取られて、試合は壮絶な乱打戦。打ち合いの得意な?ガンバを向こうに回して、真正面から打ち合いを演じた横浜は、最後の最後で力尽きて3-4の敗戦。これでリーグは4試合連続勝ちなし。
 試合後、中澤ゆーじがインタヴューを拒否したなどという話も伝わって来ております。ショックだったことは判ります。でも、敢えて言おう。ゆーじは泣くな。逆切れでも何でもして、とにかく速攻で気持ちを立て直せ。そしてみんなで次に向かおう。4失点は褒められた結果ではない。けれど、それでも「取られた分は取り返す」という気概は、大いに見せてもらえた試合だったと私は思ってる。
 また今回の警告で吉田は累積4枚目。次節は欠場。怪我人の早期復帰の望めない中、いいところも見せてくれ始めていただけに、このタイミングでの累積は正直残念…。もうこうなれば、ますます若手の起用促進だ…!

 試合日程は立て込んでいたのに、思えば私自身は中継観戦すらも「何試合ぶり?」という体たらく。とりあえずまず試合が見れたことが、中継でさえ私には非常に嬉しく楽しい時間だった今節ですが。主力が随分負傷離脱しております。いかにも横浜らしい、厳しい状況になって参りました…(苦笑)。ただ、今節の先発を見て思ったのですが、「主力大量離脱」と言われていたわりに。蓋を開けて見れば、…なんというか思いの他、「非常体制」っぽい印象もありませんよね…。あれで通常の先発戦力として見受けられるというような、見劣り感の殆どないような顔触れになりました。ああ、こういうところが横浜は「金満」といわれる所以なのだと、改めて思いました…*1
 G大阪は細かいパスも繋がって、チーム全体が連動して動いていて。8節にして出来上がっているというか。いいサッカーをしているなぁと、素直に見ている側が思える。見ていて面白い、本当にいいチームだなぁと思いました。
 まあとにかく凄い試合でしたね。見ている方としては面白かったのですが…、見終わった後、どっと疲れる試合でもありまし…た…*2

 怪我人続出で「中盤に本職がいない」と言われるスクランブル体制の中、3得点という結果は、評価していいようにも思います。ナビスコでは得点を取り消され続けている*3オオシの得点や、3点目は狩野のリーグ初得点*4は、やはり非常に嬉しい得点でしたし、またなんと言っても松田のあのゴールは、ゴール後のパフォーマンスも相俟って、こちらにも強い気持ちを感じさせてくれました。松田さん、めちゃ吠えてた…。あの様子を見ていたら、こちらも否応なく気持ちが盛り上がりました。
 ただ失点は4。どこの記事だったかで読みましたところ、何でもホームでの4失点は、岡田監督体制になって以降、最多失点なのだそうで。現在の横浜のチーム状況、とりわけ守備に不安を抱えた状態で、あのG大阪に付き合ってまともに打ち合えば、この失点は致し方ない結果という気もします。それでも失点の数という意味でも、失点の仕方という意味でも、やはり守備の抱える問題が小さくないことを、如実に感じさせられた試合でもありました。



 さて。冒頭に中澤さんがテレビインタヴューを拒否したと書きました。「ゆーじは泣くな」とも。この記事を読んで、そう書きました。

試合の感想を聞かれた中沢の目が、みるみるうちに潤んでいった。「ピンチを防げなかった。力のなさを感じた。4点取られて言い訳が見つからない。自分なりに考えたい…」。それ以上言葉にすると感情をコントロールできなくなると思ったのか、途中で話すのをやめてしまった。 →【http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2006/04/16/02.html

 折り目正しい、責任感にも溢れている選手だけに、基本的に試合の内容がどうあれ取材を断ることは殆どないらしいと、どこかで聞いたように思うのですが。その中澤がインタヴューを拒否。よほど4失点という結果が悔しくてつらかったのだろうな。特に4失点目は露骨に失点に絡んだしね…*5
 今年に入って、なかなかゆーじさんのいいところが見られませんね。横浜のチーム事情によるところも当然あるだろうけど、それ以上に彼個人のパフォーマンスの点で、調子が上がっていないのかなと思うところがある。疲れているのか、迷いがあるのか…。元々が非常に良いパフォーマンスをして来た選手だからこそ、こうした時にどうしても点が厳しくなる傾向はある。それを考えると、ちょっとかわいそうな面も若干出て来てしまうようにも思いますが。ともあれ、たとえ「調子が上がらない」という状態であっても、押しなべて及第点のパフォーマンスが出来てきたような「計算の立つ」、「堅い」選手だっただけに、現在の不調ぶりを見ていると非常に痛々しい。
 良い時の彼のパフォーマンスはこんなもんじゃない。サッカー眼のない私がそう思うくらいだから、本人にとっては本当にもどかしい状態が続いているんでしょう。このところ負けが込んでるし、怪我人続出の今だからこそ守備陣が踏ん張らなければという気負いもあっただろうし、優勝を狙うならこのG大阪とのホームゲームは、あの展開の中で、なんとしても最低限引き分けたかったみたいなこともあるでしょう。また御前試合だったことも、もしかしたら頭の片隅に引っかかっていたのかもしれません。本当に生真面目な性格の選手だと思うから、こんな記事など読むと、こちらも気の毒で胸が痛みます…。
 色々な事情が重なっているのだろうことは、こちらにも透けて判ります。それでも、敢えて言う。



 ゆーじは泣くな。



 泣きたい気持ちも正直判らなくはない。一生懸命やっていることを、多分誰も、少しも疑わない。それだけに結果の出ない状態が続くのは苦しいだろう。それでも、だからこそ、ゆーじは泣いちゃ駄目なんだよ。ゆーじと、あとマツも。
 判っていて、堪えようとしたからこそインタヴュー拒否という行動にもなったのかもしれないと思うから、本気で心配はしていないけどね。でも厳しいことを言うようだけど、やっぱり今この状況下で、ゆーじが泣くこと(あるいはマツが泣くこと)は、絶対にチームに影響する。それも悪い意味で。
 二人が今ここで泣くようなことになったら、それこそチーム全体が折れてしまう。横浜にとって、マツとゆーじはチームの二大柱だから、その彼等がなくということは、最悪チーム全体が折れてしまうという可能性を含んでいる。今、二人が気持ちを折れさせてしまったら、チームそのものの支柱を失って危うくなるよ*6
 インタヴューがどうしてもつらいなら、その時は断ってもいいと思う。勿論選手の義務と責任として、取材対応は重要なことだけれど。それでも選手も人間だから、どうしても出来ないということは少なからずあると思うよ。後でどんなに泣いてもキレてもいい。でもその代わり泣くな。どうか今は堪えてくれ。気持ちを折らずに次へ繋いで欲しい。それが横浜を引っ張る選手に課せられた使命だと思うから。

 もう一度このメンバーで戦い抜く為に、ゆーじが自身を、そして何より主力として他の選手の中心となって、チームをを引っ張ってくれると信じてます。まずは顔を上げて行こう。
 怪我人続出で、まさに満身創痍。だからこそ気持ちが入っていた試合。それがよく判るから同じ負けでも、ブーイングも出たという大宮戦とは意味の違う負け試合になったはず。大きな目標を達成する為には、こうした状況下でも「焦れないこと」が、重要なファクターになる。
 こういう時もある。立て直して来ることを信じて、今はあと少し、辛抱していきましょう。

*1:当たり前なようですがチームが強いから、あるいは金満だから(苦笑)、横浜を好きな訳ではないので。横浜を応援していると、たまにこういう外からの認識が抜け落ちてしまいますね…。ある意味、大変贅沢な話だ…気をつけないと…

*2:横浜がこんなに得点をして、同時に失点する試合って、やはりそう多くはないという気がする。多分、慣れていなくて、疲れたんだと思います。自分は走っても飛んでもいないというのに!

*3:不憫…

*4:貴重な出場機会を捉えて、ナビスコからニ試合連続ゴールは、ごっつぁんゴールでも見事な結果だと思う

*5:ああいうのは、他の守備陣との連係の問題でもあるのかどうか…。記憶が定かでないのだが、あのシーン直前、那須が中盤でパスミスしたのが、そもそも原因だったような気がする…。那須…途中出場で試合に入って行くのは難しいのだろうと思うけど、この少しずつの出場機会で持ち味を発揮して行き抜かなければいけないんだ…。本気で期待しているので、頑張れ…

*6:勿論、そんな時に彼等以外の選手達が一人一人でしっかり頑張れればいい訳なのだけど、彼等二人は現在の横浜にとって、本当になくてはならない二人なので、どうしても弱くなってしまう部分があると思う