マリノスに必要なものは何なのか。

 外から見える「マリノス」というチームについて、改めて考えている今日この頃です。
寂しいことですが、はっきり認めないといけない。現在のマリノスというチームは、『若い年代にとって「魅力的なチーム」という風に映っていない』んだということを。

 相馬選手が横浜を選ばなかったということ(あるいは浦和をこそ選んだということ)。横浜も獲得に乗り出していたらしい伊野波選手のFC東京入り。そしてもしかしたら、大橋の完全移籍を決断した要因の一つになったかもしれない、何か。
 それぞれの出来事に対しての感慨は、勿論ある。とりわけ大橋の完全移籍に関しては思うところもあり、ショックも大きかったのですが*1、しかしそれよりも、上記辺りの出来事から汲み取れる事実に、重苦しい気持ちになりました。
 私の悪い癖で、あちこちから悲観的な要素をだけ読み取って、穿ちすぎているのかもしれません。でも様々なことが、一つの事実を示唆しているような気がして、正直滅入ってしまいました。それは最初にも書いた通り。現在のマリノスというチームが、『若い年代にとって「魅力的なチーム」という風に映っていない』んだということ。

 改めて、色々考えさせられる05-06のストーブリーグです。




 一つ一つは瑣末なことなのかもしれません。取るに足らぬこと、思い過ごしなのかもしれない。でもそうやって現実に目を背けている間に、どんどん綻びが大きくなって取り返しのつかぬことになってしまうのは恐ろしい。今もう一度、改めて考えるべき岐路に、マリノスは立っているような気がします。
 下部組織から育ててきた選手が活躍してくれるのは、他チームであれ喜ばしいことです。それだけ下部組織の育成が間違っていないということだから。でも本来ならそうした選手は、トップで活躍してもらう為に時間を、情熱を注いだはずです。トップチームに引き上げてから、彼等が実際プロとして活躍し、チームを引っ張って行くレベルに伸びるまでには、やはり時間がかかる。そしてこれは下部組織からの選手に限りません。高校・大学を卒業したりして、新しくチームに入ってくる若い選手達にも同じことが当てはまる。
 勿論それぞれの選手が、個々で学び、自分を高める努力は当然必要だけれど。それ以外に、というよりあるいはそれ以上に必要なものは、経験を積める「チャンス」と、それを得る為の「時間」じゃないかと思うのです。

 さて。外からマリノスというチームを見てみる時。果たしてそれらが充分与えられる*2ように見えるのか。 ――多分答えは、否。



 悲しいかな、多分マリノスというチームは、そういうチームには見えていない。それがここのところの移籍関連のニュースに浮き彫りにされたようで、無性に切なくなったのです。
マリノスはいい若手を取るだけ取って、育てないから」。
 以前から、他チームのサポさんのお友達なんかと話していて、たまにそういう話になったりします。これまで私もまるで考えなかった訳ではありませんが、この冬は過去に聞いたそれらの指摘が今更のように耳に蘇り、一人打ちのめされたりしています*3

 育てていないわけではないと思うし、色々チームとしての事情もあるでしょう。まだまだ浅い私などには窺い知れない事情も多くあるとは思います。ただ、若くて今後に大きな期待のかかる選手達が、「マリノスだからこそ」と思って入ってきてくれる選手がどれだけいるのか。そう考えてみて、物悲しい気持ちを覚えてしまうのは私だけなのでしょうか。 念の為言っておくと、現在マリノスにいる選手達が、「マリノスというチームに期待を抱き、希望を胸に入団した」だろうことを疑っているわけではありませんよ。


 伊野波選手のFC東京入団に際してのコメント、「同年代と一緒に成長して、優勝できる力があるチーム(http://tochu.tokyo-np.co.jp/fctokyo/topics/topics_060111.html)」や、同じくFC東京入りした徳永選手の「自分の目標に一番近いクラブ(http://www.nikkansports.com/ns/soccer/p-sc-tp0-051208-0009.html)」というコメントが、すごく眩しく感じられてしまう。
 特に徳永は「W杯を目指す為に、即レギュラーでアピールする」という明確な目的があり*4、それに最も即しているという理由が、チーム選択の最終要因になった節がある。所属選手の層の問題や監督の起用法、チーム毎に様々に要素や違いはあって一概には言えないでしょうが、少なくとも若い選手達がそうした部分に注目してみた時、現在のマリノスというチームは魅力に欠けて見えるということなんだと思います。それが私はすごく寂しい。寂しいことだと思うのです。

 外からどう見られようと、自分がマリノスを好きで応援して行くことに変わりはないけれど。それでもやっぱり、自分が好きで応援しているチームが、他所から見ても魅力的に映っていて欲しいと思うのは贅沢でしょうか。
 ……そんなことないですよね? だって若手にチャンスを沢山あげるということが、チームを活性化するだろうし、世代交代という問題も順調に促すことになるはずです。別に大衆にへつらえとか言っているわけではなく。外から見て「魅力的なチーム」になる、そしてその努力をすることが、最終的にはマリノスというチームを強くするのだと思うのです。



 もっと『マリノスだから』と選んで貰える為に、必要なことは一体何なのか。



 応援する側の私も、改めて考えていってみようと思います。

*1:それについては後に、別項を立てることにします

*2:そもそもプロの世界においては全て「勝ち取る」もので、「与えられる」という価値観自体が履き違えていると思われる方もいるかもしれませんが、この場合は敢えてこう書く

*3:打たれ弱すぎですか。そうですか(苦笑)。

*4:その外、海外移籍に理解があることが重要なファクターだったようですが