山瀬、お疲れさま。

山瀬は今季、残り試合を回避することが決まったそうです。来季に万全を期す為の決断とのこと。今まで無理して引っ張って来ただけに、どうかゆっくり養生してください。

「監督とチームと話し合った結果。来年のスタートからやれるように治療に専念したい」  http://www.yomiuri.co.jp/hochi/soccer/dec/o20051201_120.htm

いつだったか、キクマリのインタビューだったと思いますが、山瀬の言っていた言葉が、とても印象に残っています。確か「(痛み止めの注射を回避しながらの出場でも)少しでもチームの為にプラスになることがあるうちは」、このまま引っ張るという主旨のコメントだったと思う。そして、「(自分が強行出場することでチームに少しもプラスにならなくなったら、その時は)完全にチームから離脱して治療に専念する」とも言っていた。
その発言は、まだチームとして優勝の可能性が残っていた頃だったように思います。チームも思わしくなく、だからこそ「出来ることは全てやりたい」という気持ちが、そういう発言になったのではないでしょうか。
それを見ていた私は、怪我を押して出場しつづける決意を淡々と語る姿に、ふと「悲壮」という言葉が脳裏を掠めてしまい、少し困った記憶があります。恐らく山瀬にはそんなつもりはなかったでしょう。聞く側の私にも、別にそんなつもりはなかったのです。第一、本人にそのつもりのないことを、そんな風な勝手な意味付けで解釈しては、選手にも失礼というものでしょう。ただ反射的にその言葉が浮かんでしまった、相変わらずの自分の傾向にちょっと呆れたシーンだったので、はからずも強く印象に残っている。
その後コメント通り、山瀬は腰痛が癒えないまま出場をしてきました。この時期まで引っ張ったのだから、今季はこのまま強行してしまうかなと思っていたところに、この情報です。もしかしたら腰痛が悪化したのかな…。



ただ上記の記事を読む限り、症状の悪化云々ということには一切触れていない。あくまで記事から汲み取れる印象からは、そうした要因での「治療に専念」ではないように思います*1。監督やチームと話し合った上での決断。だとすれば、こういう推察も可能かな。

現在マリノスには、残念ながら優勝の可能性は残っていない。しかし幸いなことに、一時期の、沼の底を這うような苦しい状況からは脱することが出来た*2。これ以上、怪我を抱えた選手が痛みを堪えてまで、無理をおす必要はない、ということ。

つまりチームが、やっとそういう状態になったということなのかなと。今回の山瀬の試合回避報道を聞いた時、私はそんなことを考えたのでした。



前回、前十字断裂から復帰したばかりの年にも、なかなか思うように体が動かないのか、調子も上がらず、もどかしい気持ちを沢山味わっていたらしい山瀬。当時のことを語ったインタビュー記事など読むと、本当に「今までと違う体を、自分の感覚とフィットさせること」に苦労した様子が忍ばれました。ただ今回は、そんなもどかしさすら判っていたこととばかり、平然と?している。

「(復帰した年だし)そういう意味では大きな期待はしていなかった」。

確かにそうかもしれない。山瀬自身が折に触れ、「今、自分に出来る限界」という意味合いの言葉を発する度に、そうなんだろうとは思って来ました。岡田さんにしても「(大きな怪我から復帰したばかりの選手に)横浜の10番だからと、あまり荷を背負わせるのは酷」という主旨のことを何度も言っていらした。勿論、それも重々判っていた。
それでも私はこの一年を振り返った時。横浜の試合を見る度、山瀬が出ていれば、彼らしいプレーを常に期待してきたし、そうしたプレーを一つでも多く見せてもらえることに、すごく大きな喜びを感じて来たなぁと思います。横浜の10番だからとか、ピッチに立っている選手だから、期待するのはある意味、至極当たり前のことなのだけど。それでも私は、山瀬にはそうした意味合い以上の期待を、常に寄せて来たように思うのです。
あの大きな怪我から復帰してくれて、本当によかった。途中、色々怪我はあったけど、それでもピッチに立ってサッカーをする姿を見せてもらえるのが、とても嬉しかった。腰痛を抱えて、それでもチームの為にと痛み止め注射を回避し続けてきた山瀬。皆より一足早いシーズンの終了となりました。



あっという間の一年、精一杯頑張ってくれてありがとう。そして本当にお疲れさま。
来年は最初から怪我のない状態でシーズンに入れることを、心から祈ってます。



大丈夫。明日の試合も、誰が出たってやってくれる。そういうチームを目指してきたはずなんだから。

*1:この解釈は、万一にも腰痛が悪化した為とは考えたくない、という願望の現れでもある…

*2:もう過去形で言ってもいいですよね…?