第33節、C大阪戦。

勝負の明暗を分けたのは、4分のロスタイム。跳ね返されては押し戻す、ピンボールのように目まぐるしくボールの動いた一瞬に、止めを刺したのは「得点の匂いを嗅げる男」。松田の執念の同点弾で、最終節へ向け、マリノスらしい演出をしてみせたこの試合。他会場も大荒れで、優勝争いはいよいよ混沌の様相を呈して参りました。

 なお、大橋はこの試合の警告で、次節、累積欠場が決定。



 タイミングをすっかり外して、今更の雑感更新です。いつもよりさっくり?、相変わらず自分メモとして、まとめておきます。



 大橋のコメントにあるように、「ほぼ負け試合」という表現もおかしくない試合になりました。内容はともかく、結果は多少不満も残るドローという結果。
 終わってみれば、相手の倍に近い17本というシュートを打って、取れた得点はロスタイムの一点だけ。この結果を「辛うじて追いついたドロー」と解釈するなら、物足りなさを覚える結果だろうと思います。折りしもこの日はホーム最終戦。スタジアムをトリコロールに染め上げて、選手をサポートする万全の態勢であっただけに、「勝てなかった」ことはとても残念なこと。ただ私個人は、案外さっぱりしていました。
 これが一時期なら、追いつくことも出来なかったかもしれない。今年はそういう状況のチームを見、試合を見てきました。だから勝てなかったけれど追いついた、追いつけたことが、まずは嬉しかった。あとはピッチの選手達に「絶対に追いつくんだ」という気迫が見えたこと。
 なりふり構わず、ただ必死で零れてくるボールを打ち返す様には、どこか以前の「勝ち癖」のついていた頃の彼等が被りました。どこまでもしぶとく、粘り強く。最後まで諦めないマリノスが戻って来た。ホーム最終戦に、岡田マリノスの真骨頂が仄見えたことが、多分一番嬉しかったのだと思います。勝てれば、それにこしたことはなかったと思うけれど。それでも負けずに終えられたことが、私は嬉しかったのです。
 これはきっと勝った今だからこそ、言えることでしょうが。不思議に負ける気がしなかったというところもある。最後には、運でも何でも味方に付けて、点が取れるのじゃないかなと思っていた。時間が押し迫って勝つことは難しくなっても、少なくとも追いつけるのじゃないかと思って、見ていた気がします。別に松田直樹のコメントを鵜呑みにしていた訳でもないけれども(笑)。でもこの日は不思議に、最後には点が入るだろうなと思っていた。03年のC大阪戦(ホーム)が、私には印象に強いからなのかもしれません*1
 実際そうなるかどうかは別のこととして。「点が入る」と信じられることは、幸せなことだなと思いました。ほんの何試合か前までは、正直そんなこと、全然思えなかったよ(苦笑)。岡田さんじゃないけど、これ、本当だね。

指揮官は試合前、この1点を予知するように選手に伝えていたという。
「気持ちがあれば、自然とボールは前にこぼれるものだ」
http://www.kanaloco.jp/sports/soccer/0511/jw05112701.html

これが、この試合の全てじゃないでしょうか。



それにしてもこの試合のデータ、圧巻ですよ。なんというか、色んな意味で。ニッカンスコア(http://www.nikkansports.com/ns/soccer/jleague/score/2005/20051126yoco.html)など見ると、一目瞭然ですけれども。シュート本数で、セレッソの倍近く打っているだけでなく、17本というシュート本数のうち、13本が枠内へ飛んでいるという、このデータ。
 勿論好調セレッソのGKがあたっていたとか、守備陣に最後の最後で粘り強く対応されていたとか、そういう要因もあったろうとは思いますが。…本当に、これだけ枠内シュートを放っておきながら、得点が一点というのも…ねぇ。物寂しい気持ちもしてまいりますが、まあとにかく後半、失点後は怒涛の攻撃で楽しませて頂きました*2

 失点シーン。あの場所で、してはいけないミスではあったでしょうけれども。その分、今まで決定的な場面を河合くんが救って来てくれていたことを考え合わせれば、彼のミスをより、とにかくあの試合の全員での踏ん張りを評価したい試合でしたよ。危ないシーンもあったけれど、総じて大きく崩れてしまうというようなところはなかった。落ち着いて見ていられました。
 あとはすっかり噛み合ってきたマグロンが。思わず溜め息出るくらい上手いよね(今更)。しっかりキープしてくれるから、他の選手が躊躇い無く上がって行ける。サイドを使うこと、短くパスを繋いで崩すような攻撃、マリノスは恐らく、やろうと思えばどんな攻撃もやれるだけのポテンシャルをもったチームだけど、今は特に「彼」がいるから円滑に行えるというような感じ。チームにとって、必要な1ピースになって来たように思いました。
 良治さん、大橋とマグロンという、この日の中盤の組み合わせは、どちらかといえば皆がある程度キープしたりする傾向が強い選手達で、スピードの速い展開は、そんなに多くは見られないのかな。もっと「緩急」がついてもいいのかなとは思ったのだけど…、望みすぎでしょうか。あるいは、これは山瀬なりおっくんが入ると、改善する問題だろうか。チームというよりは、人の持ち味の違いかな? 私はその辺りのことが、よく判りません*3



 ともあれ松田さんは練習中のぎっくり腰をおして、よく頑張ってくれました。試合中、結構早い時間帯から、ずっと腰を気にしてしんどそうにしていたので*4、本当に最後のパワープレイで、よく決めてくれたなぁと思います。那須インと前後して、松田が最前線にいるのを見た時は、やはり燃えました。松田が前線にいると無条件に燃えるのは、マリサポの証でしょうか。
ロスタイム表示は4分。比較的早い時間に決まったので、あわよくばもう一点というシーン。あの時、松田は倒れ込んでピッチをばしばし叩いていたけれど、あれは喜んでいたという以上に、「ボールを持ってセンターサークルに戻る」ことが出来ないくらい腰が痛かったのかな、などと勝手に想像してみる次第。次節どうなるか判りませんが、癖になっている気もするので、ゆっくり休んで大事にして欲しいものです。

 あとは、やっぱり、決定力か…。使い古された言葉だけれど、使い古されて尚、改善の特効薬もない、この症状。天皇杯を最後の目標に見据えていくのなら、次の最終節で少しでも修正して来たところを見せてもらえたらと思います。

*1:早い時間に退場者を出し、後半10人で、前半に食らった二失点を取り返した試合

*2:焦らされたともいうか

*3:ただ山瀬を見ていると、自分がパスを出すと、すぐにリターンを貰おうとする印象が強くある。これはU23代表の時を見ていても、浦和でも恐らくそうだったプレイスタイルで、得意とする彼の持ち味なのだと思う。でももしかしたらそれ以上に、緩急(特に急)のアクセントをつけようという狙いで、何度もそうした動きをするのかなとは、思ったりします。周囲と噛み合わずに上手く行かなくとも、何度も諦めずに繰り返しているように見える。まあ遅攻にせよ速攻にせよ、それ一辺倒だと相手も慣れて対応しやすくなる。やっぱり大事なのはバランスですね(どこかのキャッシングのCMのような締めだ…)

*4:痛み止めだか貰いに、いつの間にかピッチから外れていたりした