バッテリー、二巻

バッテリー (2) (角川文庫)

バッテリー (2) (角川文庫)



一巻は以前、文庫落ちしたタイミングで読んだのですが、続巻は未読のままだったので、先日古本屋にて購入してみました。ほら、あちこちで大絶賛されているようではないですか。私は一巻を読んだ時、タイミングが悪かったのか、そこまで「これだ!」というような感覚を覚えられなかったので、「もしかしたら続きを読んだら、もうちょっと『これだ!』と思えるかな?」と、思ったりしたので(笑)。
中学生になった主人公とその友人達、また野球部の内部を描いているお話になっている。児童文学だけあって全体に難しいところも一つもなく、すんなり読めて読後にほんのり優しい感じが残ります。

以前、友人に貸して頂いて、同じ作家の「NO.6」という本も読みまして。そちらも、いかにもまだ幼い少年同士の手探りな交感が描かれていて、微笑ましかったり、時にどきっとしたりで楽しめましたですよ。児童文学を読んでいるだろう、対象の少年少女が身につまされるような感覚などを描いているのだろうと思います。そしてそれは、大人にも充分通じる感覚で、「こういうのってあるよな」と、主人公と同じように切なかったり悲しかったり、もどかしかったりする。
バッテリー1・2巻に関しては、それぞれに読みきりのお話になっていることもあって、変に引きずることもなく。また(これがなにより一番児童文学らしい点だろうと思うのですが)、お話の終わりに主人公がぶつかっていた壁や、抱えていたものが解消に向かう展開が描かれているので、読後に爽快感もある。私個人としては、爽やか過ぎて、どうしても物足りなさを覚えたりもするのですが、その点は児童文学だからね…。
まあ、ともかくそうした判りやすさと、作品全体に通じる優しい空気とかといった部分が、この作家さんの好まれる点なのだろうなと思ったりしました。

…しかし。そんなことより、私が注目したいのは、このあさのさんという作家さんの「あとがき」。これです。もうさ、超ポエム。素人とは言え、ポエーな文章書かせたら、ちょっと負けない自信のある、この私が言うんだから間違いないよ(笑)。あさのさん、 超 ポ エ ミ ス ト *1
特に、バッテリーの二巻は凄かったよ。もう強烈な威力あるポエムを綴ってるよ…! 瞠目で刮目のあとがきだよ(;´Д`)ノ センセイ!
私、自分の書くポエー文なんか、全然同じ土俵に立ってないなと思って、負けたって思った(笑)。相手、プロなんだから当たり前じゃんよって言われちゃそれまでなんだが、なんかもう、この衝撃をどう言い表していいやら…! 表現する言葉の思いつけない自分が悔しいぜ!


文庫版バッテリー二巻のあとがきは、バッテリーのシリーズ最終巻を書き終えた直後?に綴られているらしいのです。その為、バッテリー二巻のあとがきというよりは、バッテリーシリーズに対するあとがき、いや壮大なポエムになっているのです。


三浦しをん「月魚」文庫版の解説(あさのさん)を読んだ以来の衝撃でした。
嗚呼。もう、あさのさん…あさのさん…!
いやーもう、途中から本気で戦慄が走りました。物凄い才能が開花してるよ…!
もう是非。バッテリーを未読の相方も、これは是非読んで。すごいから。すごいとしか言えない。思い出して鳥肌立っちゃったよ…。



あさのさんのあとがき・まとめサイトとかあればいいのに(ねえよ)!

*1:そんな言葉ないは勿論無いが、詩ではないので、詩人を指すポエットは当てはまらない。その為、表現しきれないポエムを炸裂させる才能の最上級を表す言葉として、ここはポエミストという造語を提案してみた次第