三浦しをん「白いへび眠る島」。

白いへび眠る島

白いへび眠る島

「白いへび眠る島」は、高校三年生の主人公の成長物語として、また、適度なファンタジーとしてのエンターテイメント性もあって、気楽で楽しかったですよ。

ところで「白いへび〜」ですが。あの本編、そして特にあの文庫書き下ろし掌編に流れる、登場人物の関係の特殊性は、果たしてどこまでが狙いなのか(苦笑)。素か? 素なのか? 二重の意味で腐女子の性なのか…?*1
そういう部分で、途中結構目のやり場に困った?「月魚」よりは、断然すんなり自然に楽しく読めました。いやこの言い方だと語弊があるな。「月魚」も面白いですよ! どちらかといえばはっきりロマンティックな傾向に美しくて、主人公と父との葛藤とか、そうしたところに素直に向かっていく青年を描いていて、読み甲斐もあって素直に面白い。ただ腐女子傾向のある私にとっては、想像以上に腐女子オーラが強かったので、正直ちょっと途惑ったのです*2


次は「しをんのしおり」を読みます。こちらはエッセイ。文庫落ち記念に買ってみた。楽しいことは8割方間違いない予感なので、外出先では読みません。←万一にも吹き出して笑ってしまうと困る。

*1:二重の意味:書き手が腐女子であるが為に、大して意識せず?に織り込まれた何がしかの記号を、読み手もまた腐女子の場合には、それ以外の部分を踏まえて、記号以上のなにかを脳内で抽出してしまう、というような出来事が起きる。腐女子を標榜する書き手が少しでも腐女子につけいる隙を作った時点で、読み手がそういう要素を感じまいとして本編を読み下そうと努力しても、どうしても腐女子くささが作品の行間に滲んで感じられてしまう、気がする。そうした特殊条件を指してみた。

*2:――というか「月魚」に関しては、本編よりもあさのあつこの解説にぶっ飛んだ次第でございます。BL本でもないヒトサマの本の解説で、ああまで香しい、腐女子臭匂い立つ文章書いちゃって大丈夫だろうかと、一人勝手にはらはらどきどきしっぱなしでしたよ…?