BECK

if you realy wanna / fly you gotta let go
(本気でトビたいなら / 手を放してごらん)

                                    My World Down

BECKと言っても海外のアーティストの方でなく、アニメBECKのサントラ盤「BECK」。こちらは劇中で使用された音源集。音楽監修がヒダカだというので、アニメが始まる前からウキウキだった私としては、忘れてたけどやっとサントラ聴けました――って、遅ぇよ! みたいな一枚。


今はそんなこともないのかもしれませんが、昔はサントラというと、どれも一枚のアルバムとしての完成度はあまり問うていない作りに聴こえるものが多くて、滅多なことでもなければ購入しないことにしているのですが、これは面白かった。まあBECKはバンドものの作品なので、サントラと言っても全曲vocalトラック。ちょっと他のサントラと扱いを同じにして語るのは難しいし、他のサントラには厳しいことかもしれません。だから、どちらかといえば、コンピレーションアルバムといった趣。
コユキ、チバの歌を担当していた平林さん、小川さんもイメージに合った声で、文句なし素晴らしかったのだけど、私の中では真帆vocalがsoweluちゃんだったことが、最高にヒットでした。ああ、ソエル歌上手い! 声かわいい! 顔もかわいい…!

アニメが始まる前は、もっと溢れんばかりヒダカの「ヒダカ臭*1」がするかなと思っていたのだけど、そんなことはなかった。アルバムを聴いても正直、意外なほどヒダカっぽさはありません。これは良い意味で、嬉しい意外性。あのヒダカを侮ってはいけません。すんませんした。でも音のシンプルさなんかには、やっぱりヒダカらしさは溢れているのかもしれない。
ヒダカのバンドの音源を作るのではないのだから、歌を唄う人もそれぞれ違うし、バンドの方向性の違う人達の音源をそれぞれに用意する必要がある。否応なく多様性が求められる訳だけど、本当に一枚で沢山の種類の音楽が楽しめました。一口にギターバンドでも、嗜好はそれぞれだから、楽曲ごとに参加するアーティストの味がうまいこと出ていたんでしょう。サントラ盤を作るにあたって、色々な人の集まった現場、さぞ楽しかっただろうなぁ…。

これは劇中使用音源の「BECK」だったから、多少アニメ作品としての演出がある音になっていて。だから余計にそう思ったのかもしれないけど、BECK(これはアニメ作品中のバンドを指して)のバンドとしての音が、荒削りな肌触りを残していると思うんだよね。それがすごくよかった。音楽を聴く耳など全くない、全然素人な私の意見なので、きっとすごく的外れなんだろうけど、そう思った。
それは多分、明確な意図なんだと思う。楽曲そのもの、歌詞の内容もそうだけど、全体的にとても若くて青くて荒い。演奏も纏め方として、多分そういう方向性を残したままになっているんだろうなと。いい意味で、洗練されていない、というか。M2の「SPICE OF LIFE」の勢いなんか、モロに初期衝動の延長線上にある楽曲という感じがあっていい。まあ歌詞なんかは、バンドの若さと、チバというキャラクタ性の象徴として、特にそういう方向にまとめてあるのかもしれない。


全体にいかにものギターバンド系音源が占める中で、完璧なアイドルの楽曲と、所謂ヴィジュアル系の楽曲が異彩を放っていて笑えます。特にヴィジュアル系。も、この曲に関しては、アニメで流れた瞬間に「そう! そうだよ! ヴィジュアル系ってこういう歌詞! こういうアレンジ展開だよね!」と、激しく首を縦に振ったものです…。今回、改めて聞いてみて、本当に他の楽曲とは明らかに毛色の違う楽曲っぷりに瞠目、という感じでした。ああ、面白いな。というか、素直に感心しちゃったよ…。
この楽曲を作られたご本人は、ヴィジュアルど真ん中で活動されている方なのかしら…。他の楽曲に関わっている辺りなんかは、音を知らないまでも名前くらいは聴いたことあったりもするけど、ヴィジュアル系はもーきれいさっぱり判らないからなぁ…。知ってる人は知ってる、みたいな感じの人なのかしら。ああ、でも歌ってるのはTYPHOON24の人なんだな…。歌の歌い方も最にヴィジュアル系らしく聴こえるんだけど、これは研究の賜物か?(笑)


そんでもって、My World Down*2が大変かわいらしくて大好きなのであった。この曲は、meisterのオリジナルアルバムに収録されている曲であることを考えると、アニメBECKの為に書き下ろされたものではなさそうだけど、オリジナルをフルレングスで聴いてみたいとすごく思った。あのねばりつくような発音の歌い方*3、雑多でラウドなアレンジ、そして作詞がTIM JENSEN…! そりゃ大好きだよ(笑)!
あとはやっぱりslip outかなぁ。これサントラ盤とかに普通に入ってますけど、普通に名曲だよ? みたいな。歌詞がすごく素直で共感出来るし、なんといってもサビが泣ける…!


――ところで、このアルバムにはアニメ主人公のコユキが、学校の文化祭で演奏した曲として、大変素晴らしくかっちょよいアレンジの「妖怪人間ベム」のテーマが収録されています。…おかげでここしばらく、頭の中から、この曲が離れない…。早く人間になりた〜い!



【追記】
はまぞうではイメージ画像が表示されない上に、サイトデザインが崩れる大変微妙な有様だったので(…)、無理やり楽天さんのページのリンクを貼ってみる。ジャケのBECK(この場合は表紙を飾っているツギハギわんこの名前)がかわいいから、イメージ貼りたかったのにー。
【楽天市場】エラー

*1:個性とか音楽性とかそういうもののことです

*2:アニメBECKの初期EDだった楽曲

*3:歌詞の譜割りの問題も大きいと思われる