「素晴らしい人生なんてそんなものはないのかもしれない」。

 たまたまJUDEの「SHAMPOO」のPVを見れましたよ。

 正直に告白すると、BJCを解散して以来、ベンジーの音をまともに聴いていない。聴けばきっと楽しめる。だけど故意に距離を置いていた。BJCが好き過ぎて、それ以外のベンジーを聴いても、私には「違う」ような気がしていたから。実際JUDEを聴いても、なんとなく音が軽いような、以前のような(それはつまりBJCと比べて)纏い付くような音の重さとか、息苦しく圧倒してくる迫力みたいな何かが、私には欠けているように思えて、物足りなさを感じていた。それを、「BJCに対する勝手な未練」や「郷愁」だと自分でも判っていた。それでも物足りないと感じるのなら、それは私にとって差し迫って絶対に必要な音ではないんだと思ったから。
 でも「SHAMPOO」を聴いてたらさ。ベンジーベンジーだったよ。当たり前だけど、すとんとそう思った。当たり前のように、変わらずに、でも進化し続けながら、ベンジーの音楽をやってたよ。ベンジー、ここにいるよ、みたいな感じがした。嬉しかったのか、懐かしかったのか、自分でもよく判らない。でも「素晴らしい人生なんて、そんなものはないのかもしれない」という意味の歌詞(うろ覚えですまん)を歌うサビを聴いてたら、無性に自分の柔らかい部分が剥き出しになって行く気がした。体が軽くなっていくような感覚がした。
 目の前が開けて、明るい未来の気配が先に感じられるとか、そんなきれいな感覚*1じゃない。でもただ剥き出しに、後生大事に抱えていた何かが曝け出されるような感覚。皮がベロリと向かれるような。見た目にかっこ良いものじゃないだろうそれが、その感覚が、でも嬉しかったんだ。私にとってベンジーの音楽は、そういう作用のものなんだ。それはもう、ずっと以前。BJCを初めて知った十代の頃から。今度こそ、JUDEを聴いてみようかな。

*1:それは多分錯覚だろうけど、それならそれで全然構わない