夜のピクニック。

 最近、気に入った本の再読ばかりをしていて、特にブログでも感想に触れていなかったし、新しい本を読まなすぎなので、「本」というカテゴリが要らないんじゃないの、とか、内心思ったりしてました。
夜のピクニック
 久々に、こんなにさくさく読み進める本を読んだ。あっという間に読み終わっちゃった。恩田陸ジュブナイル*1が以前から好きなので、この本も読もう読もうと思っていましたが、気付けば今まで放置プレイでしたよ。でも、取っておいた期間が長すぎて、自分の中で期待が高まりすぎてた(笑)。なので読後に、かえって、「あれ、こんなもんだっけ?」みたいな拍子抜け感覚を味わいました。あはん。でもそれぞれに登場人物が愛らしくて、読んでいて楽しかった。いつ読んでも恩田陸の書く少年少女は、まっすぐできらきらしていていいですなあ。読後感が爽やかな本を読んだのは、実際いつぶりだ?(笑)
 余談のようですが。「少年」が「ひたすら」「歩く」というモチーフが揃うと、私は無条件で「死のロングウォーク」を思い出します。今回の作中での「歩行祭」のイメージが、どうしても被ってしまって、読みながらイメージを振り払うのが大変でした。
 バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー):スティーブンキングが変名を使って出版していたモダンホラー。選ばれた100人の少年達がただひたすらに歩いていく「ロングウォーク」は、規定のルートと速度を違反して警告が累積すると、即座に射殺されるという競技で、かなり壮絶な精神状態に追い込まれる少年達を描いたお話。今アマゾン見たら、昨今の銃乱射事件等の社会情勢を受けて、キング自らが絶版を宣言したらしいです。つまりそういう内容のお話です…。気をつけないとかなり滅入ります(苦笑)。

 夜のピクニック、「本屋んが薦めたい(売りたい?)本」の『本屋大賞』?の大賞を受賞したらしいですね。どういう本が候補に上がっていたのかとか、昨年の受賞作も読んでいない私なのですが。最近話題になる本は、さらーっと読めすぎて、自分としては物足りなく感じたりすることがあります。この本に関しては、登場人物が高校生だし、これくらいの濃度でいいのかなと思いますが、登場人物が二十代三十代だったら、こういう感じだと物足りないかもなぁと考えてみたり。上手く言えないな。個人的な趣味として、もっとどろどろとしたところまで踏み込んで書いてあって、一文一文を、何度も読み直しながら、ゆっくり読むような本が好きなのです。
 ええと。ちなみに本屋さんの薦めたい本という辺りで、ずっと気になっているのは、絲山秋子の「袋小路の男」です。どんな感じなのかしらー。

 そういえば以前にも書いたような気がしますが、仮名:近所の本屋さん(濃!)の店長に、今度という今度こそ、顔を覚えられてしまいましたよ。がぼん。お会計をしている間に、カバー掛けをしてくれてた店長に、「色川さんは独特な雰囲気があるでしょー?」とにこやかに話し掛けられてしまいました…。て、てんちょー、いつから私の存在を覚えてるの…? ずっと前? ずっと前なの…?
 もしずっと前なのだとしたら、私の読書遍歴の一部(しかし私にとっては結構コアな部分)が丸裸だ。恥ずかしいな! でもまあ、あまり通っていないわりに、近所の本屋さん(濃!)で買うものが、色川武大大塚英志車谷長吉埴谷雄高とかだもんな…*2
 私はまだ一度もお願いしたことはありませんが、どうしても欲しい本なんかがあった時に、取り寄せを面倒がらずにやってくれる書店なので、これからもつかず離れずの距離を保ちつつ、心はマブな仲になって行きたいと思います。で、店長、ものは相談なんだが、もう一度松浦寿輝の「半島」を入れてくれ。

 明日からは色川の「狂人日記」です。

*1:ジュブナイルという言い方は、ちょっと違うのかもしれませんが…。青春小説?

*2:多分どの作家も、店長の心のランキング、ベストテンに入る作家と思われる。昨日も何故だかものっそい勢いで、人文の棚の脇辺り(売れ筋を並べる平台のはずが、絶対に店長のお勧め平台になっている素敵コーナー)で、車谷長吉フェアが開催されてたからな…。ちなみに上記作家が、私的にも近年心のベストテン上位に食い込む作家。色川の「百」はやばすぎます。