「PLUTO−地上最大のロボット」
- 作者: 浦沢直樹,手塚治虫,長崎尚志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/04/26
- メディア: コミック
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1〜4巻まで刊行されていますが、↑冒頭に貼るのはやっぱりアトムで。
浦沢直樹の手による手塚治虫の作品のリアレンジ版。とかみたいな表現でいいのかよく判りませんが、まあこの作品に関しては、本当にもう説明無しでいいよねってことであります。まあ今更私がなにか言うまでもない、押しも押されぬ話題作。まだ物語が続いているので内容の詳細について感想も書けませんが、想像通り、面白い納得の作品でした。もりもり読んでしまいましたよ。
思えばこんなに有名な作者なのに、私はこれが初浦沢作品なんでした。やっぱ絵上手いなぁ…(当たり前のことを言う)。ちゃんと漫画っぽくて、でもリアルっぽくもある。絶妙な匙加減。この作家の、大人の男性の描き分けが好きです。体格の骨格や肉付き、顔の細かい目鼻立ちや口許の感じに、それぞれのキャラクタの年齢が滲むような様子があって、「普通の男性」がその人らしく、画面上できちんと生きている感じがする。敢えて「普通の男性」と書くのは、漫画だと作品に登場するキャラクタが美形ばっかりってことも少なくないから。
登場人物のそれぞれが年を経て来た、作中で特に重要でもなく描かれないけれど重ねて来た経験が、その表情とか佇まいにちゃんと想像出来るような感じがする。それがすごく好き。イラストレーターさんの、一枚絵としての絵柄の美しさとはまたちょっと違う、これが「漫画」だなぁと思った。「漫画の絵柄」だなぁと。一枚のイラストとしても充分きれいだけど、物語の中でこそ本領を発揮する絵。漫画の絵に求められるのは、一つはそういう味わいなんだろうな。
あ、そうそう。全然物語とは関係ないのだけど、気付いた点が一つ。漫画のふきだしの中に句点を打っている漫画を、ものっそい久しぶりに読んだ気がします。最近、読点すらも打たない作家が多い気がするのよね*1。なんかシナリオ上のこだわりみたいなものがあるのかなぁ。
この物語がどこに行き着くのか、ますます気になる展開になってますよ。続きが待ち遠しい漫画があるのは嬉しいなぁ。
*1:あんまり漫画を読まなくなったので、もしかしたらそうでもなのかな? 適当な印象で語っています