「3点です。100点満点中で。」――第18節、C大阪戦。

 今日、全く別の試合のコメントで、「3点です。100点満点中で。」というものに巡り会いまして。横浜の試合後コメントとなんとなく引き比べて、胸を抉られるような気分になりました。
 別に現在、最下位にいるチームだとしても、ラクに勝てる相手なんて存在しないのだから、今日の試合だって、気を抜いていた選手は一人もいないだろうとは思うのですが。それでもやはり、調子の上がらないチームを相手に、一点も取れずに負けたという事実は、重くのしかかってきますね。

 私は今日、試合を見ることが出来なかったので、なにを言うことも出来ないのですが。試合後コメントなど見ていると、選手達の中から「チームがバラバラだった」というようなコメントがあり、見ていないからこそ、かえって妙な焦燥というか、危機感のようなものが、胸の底でちくちくしています。ちぐはぐ感を抱いている選手が、ちぐはぐなまま戦った試合。もしかしたら観戦された方にとっては完封された以上に、徒労感の残るような内容になっていたのでは…。それを思うと、こちらまでぐったり…。嗚呼。


ゲームデータ【http://www.f-marinos.com/topteam/report/?code=1155621948】/選手コメント【http://www.jsgoal.jp/news/00036000/00036945.html

 以下は、エントリタイトルと、本日の試合後コメントなどについてをだらだらと語っております。



 それにしても。試合後コメントは面白いですね。チームの内情がふと察せられるようななにかがあったり、何気ない言葉の端々に、その選手のその瞬間の心情が思いのほか正直に滲み出たりしている気がします。それが単に私の妄想でしかなかったとしても(苦笑)、大変興味深い。好きなチームや選手のものであれば、試合後発表されるものは、私は一通り目を通すことにしています。そうした中で、久々にびっくりするようなコメントに出会いました。それが、エントリタイトルの一文。その日の試合を振り返ることを求められたコメントで、「個人的には3点です。100点満点中で」。

 問題のコメントの発言主は、早稲田ア式の兵藤選手のもの。昨日行われた早関定例戦における、試合後コメントです*1。試合自体は、終始早大がペースを握り、2-1で勝利したようなのですが。…100点満点中で、3点て…。3点て、10点満点中でも結構酷いよね…。どんだけ酷かったのだ君の出来は…。いや、判ってるよ。誰がなにを言おうと言わなかろうと、自分に厳しいからこそ、結果こうした酷評を自らに課すのだということは。
 注:これまで見て来た兵藤選手のコメントは、「すっごくよかったです!」とにこにこな笑顔が透けそうなものか、でなければ「今日は本当に本当にダメでした。負けたのは俺のせいです」的な悲壮感漂うものか、絶対にどちらかで、大変両極端なのです。他の選手や監督、インタビューアが兵藤を、さほど悪いと思っていない場合にも、彼自身で納得が行かない内容だった場合には、彼は非常に厳しいコメントを発します。

 でも久々に、ちょっと読んでびっくりするようなコメントで、ええ、と思いました。私はそのア式の試合も見ていないので、そのコメントがどれだけ事実に即した内容のコメントなのか、知りようもありません。ただ相変わらず、随分ばっさり切り捨てるなぁと。こうしたコメントの潔さは、一つには、彼の若さが起因しているのではないかとは思うのですけれども。
 ただ、北京五輪を目指す世代で、他の多くの選手はJのクラブに所属して戦っている中、彼はまだ大学生。そういう場所にいるからこそ、どういう理由であれ「大学生だから」とは絶対に言われたくないでしょう。そういうところからの気負いのようなものから、こうしたコメントは生まれてくるのかな、といつもそんなことを思って、彼のコメントを読んでいます。



 さて。勿論、彼のコメントと、横浜の選手のコメントは簡単に比べられるものではないし、それぞれに立場が違って、求められているものもきっと違う。そんなことは重々承知しています。プロとプロでないというところに、きっと部外者の私などが想像もつきかねる、広く深い溝があるだろうとは思います。けれど乱暴なようでも、サッカーというものに真剣に挑んでいるという点だけを括れば、それは、同じ。
 そうした考え方で、このコメントと勇蔵のコメントを見て、どうしようもなく溜め息が洩れてしまいました。

□栗原 勇蔵
全体的にかみ合っていない部分が多かった。これは、昨日の練習から感じていたことだが、試合になれば何とかなると思っていたのが甘かった。これを反省したい。

 勇蔵、練習で出来ないことは、試合でも出来ないものなのです。これは多分サッカーではなくても、きっと同じことだろうと思いますが。かみ合っていないと練習で感じていたのなら、それをきちっと他の選手に伝えてください。そしてかみ合っていない原因を探ろうとしてください。あるいは詰める作業はして、でも詰め切れなかった結果が、今日の試合になったのかも判りませんが。そうなら、もっと違う言葉で、試合後に自分なりの総括なり反省なりをして欲しい。コメントで「反省したい」と行ってくれているので、しっかり立て直して来てくれるだろうとは思いますが…。
 たかが試合後コメントでそこまで、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、彼等のコメントは、プロだからこそ、それこそ本当に多くの人の目に触れるものだから、その言葉の影響力というものを、きちんと考えて欲しいと思わずにはいられません。何の気なしに発した言葉、たった一つで、人は付け込まれることもあるし、それによって心証を損なうこともある。それが跳ね返って、チーム内に影響を及ぼすこともありうるものだと思うのです。
 これは勇蔵に限りませんが、なんとなく「なんとかなる」と思わないで欲しい。案外、人はなにげない言葉に支配されたり、影響されたりして生きている生き物です。自分が「なんとかなる」と言っていては、それこそ本当になし崩しに進んでしまう。

「何とかなると思っていた」という言葉が、本当に「なんとなく」出て来ているように思われて、正直、とても残念に思いました。チームの中にぬるい空気が漂っている気がして。
 もっとプロとして、自分にもチームにも厳しく臨んで欲しいと思うのです。そういう言葉尻一つでも、今はないがしろにして欲しくない。試合は無限にあるわけじゃない。一つ一つ、きちんとして行かないと、上位との差はますます開いてしまいます。
 「なんとかなる」と思っていたことを、一つ一つ、解決して行って欲しいと思います。時間がかかることには、多分応援している人はみんな、覚悟が出来ている気がするから。焦らずじっくり、選手同士でよく話し合って、前を向いて行きましょう。チームの調子が上向くまで、応援する気持ちは決して絶やさず送り続けたいと思います。