鈍獣

 WOWOWで「鈍獣」の劇場中継をやることに気付いて、一人朝からウハウハした。その前にお茶を入れたり片付けものを済ませて、正座で放送時間を待ってしまったほどの熱の入れよう(笑)。会場に見に行かなかった*1のだけど、それがこれほどまでに悔しいキャスト・スタッフ陣の芝居も、そうはあるまいと思う。

 あ、しかもこの脚本でクドカンは、とうとう岸田國士戯曲賞を受賞したらしい。取れないだろうと思って、「いつか戯曲集を出す時には「どうして取れなかったか」の対談を、出演者達としようと思っていた」とコメントしていたのに笑った。普通に取れちゃったね。――ていうか、クドカンは一人でこういう戯曲を一本全部書きとおすのは、ほぼ初めてぽいことを言っていたよ(大人計画とかだと共同脚本だろう)。(語弊はあるが)初めて書いて岸田戯曲賞。ずっと狙っている人もいるだろうに!




  出演:生瀬勝久 池田成志 古田新太
  脚本:宮藤官九郎
  演出:河原雅彦



 キャストにこの三人の名前が並んでいるだけで、顔がにやけてヨダレ出ますよホント。演劇ファンならきっと誰もが見てみたいだろう、まさにドリームキャストといった布陣。
 ストーリーはホラー仕立。TV等で活躍する女性陣(初舞台みたいな人達ばかりだった模様?だが、それぞれキャラを生かして三人に負けずに熱演していた)を配して、とある地方都市のホストクラブを舞台に、不気味な物語が展開する。内容については、説明が煩雑なので触れない。だからこの文章の中では、芝居のネタばれもしない。ある意味、親切設計(笑)*2

 この芝居の企画はキャスト三人が主導で、「この三人で芝居やろう」「そろそろホラーがやりたい」「誰に脚本書いてもらう?」「宮藤くんでしょ」みたいな感じで動いていった模様。成志から話を持ち込まれたクドカンは、物理的に(日程等で)難しいよなと思いつつ、「どうするの、やるのやらないの」と最後に聞かれた時に、『(自分が断って)他の脚本家が書くのが悔しかったから受けた』と話していた。凄く納得のコメントである。

 で、今回の舞台中継の最後には、役者、脚本、演出に携わったそれぞれの人のインタビューというか、楽屋裏的な会話の映像が流れていて、それがちょっと面白かった。というか、興味深かった。
 クドカンは話が来た段階で、脚本を三人に対して当て書き*3したらしいのだが、それが演出の河原さんのイメージとは、どうやらいつも真逆にあるらしく、今回も当て書きしたキャスティングと、実際のキャスティングが、まるで違っていたらしい。
 以前にもそういうことがあったので、クドカンは脚本を渡す段階で、誰がどの役だと思って書いたという話を一切演出の河原に話さず、そもそも三人も戯曲を貰って企画の記者発表をする時点で、まだ自分がどの役を演じるか、知らされていなかったらしく。三人は記者発表で、揃って「常連客(岡本)がやりたい」「好きに暴れられそうだから」という主旨のコメントしていた。そりゃそうか(笑)。
 ちなみに私は芝居を見ている時に、ばっちり当て書き通りのキャスティングだと思って見ていた。凄く判りやすい当て書きだなーとすら思っていた(笑)。多分誰が何の役をやっても、それなりのキャラ立ちになって面白かっただろうと思うから、クドカンの思うキャスティングでも見てみたかった気もするけどなー。

 一応キャスティングは伏せておこう。見たい人は各自ドラッグで。

 『実際のキャスティング』   『クドカンの当て書き』うろ覚え
  凸川(小説家):成志       凸川(小説家):生瀬
  江田(店長) :古田       江田(店長) :成志
  岡本(常連客):生瀬       岡本(常連客):古田



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*1:公演は2004年夏

*2:ほら、DVDも発売されておりますのでね!

*3:実際に出演する役者をイメージして、「この役は○○(役者名)」という具合に、誰が何を演じるか決めて脚本を書くこと