一年前の6月。

 先日の21日。ちょっと確認したいことがあって、昨年の手帳を紐解いた。私は手帳と言っても、特になにを書いているわけでもない。だから見直しても別に大したことは書いていない。でもちょうど昨年のその日。2006年6月21日のところには、小さいけど超浮かれた文字で、「山瀬が全体練習に合流!」と書き付けてあった。自分のこともまともに書いていないのに、そんなことだけしっかりとw
 一年という月日は不思議だなぁと、この頃思ったりしています。ぼんやりしているとあっという間に過ぎてしまうのに、時にすごく長くて、重い意味を生むこともある。
 以下、山瀬のこととか、ゆーじさんのこととかをぼんやりと考える長文です。直近のリーグ戦のことなどについては、一切触れられていませんので、ご了承ください…。



 昨年の6月21日。リーグ中断で休みだった練習がその日から再開、そのタイミングで山瀬も全体練習に合流した、ということだったようですが。うん、あの日はすっごく嬉しかった。嬉しくて相当浮かれた自分を思い出したのでした。あの頃は、山瀬がとにかく怪我・痛みみたいなものを気にせず、彼が楽しくサッカーを出来る状態が戻って来るのを、もう本当に祈るみたいに待っていた気がします。それが今は、文字通りチームを背負って立つ、頼れる10番としてピッチに立ってくれている。
 怪我さえなければ、これくらいのことは出来て当然の選手かもしれませんが、一年前には、少なくとも私はそんな日のことをとても想像出来なかったのです。とにかく彼に関しては、サッカーが出来る体に戻って欲しいって、それだけだった。私は一年先のことなんて、元々あまり考えられないタイプの人間なので、余計にそうだったのかもしれませんが…。
 だから一年前の日記に、「ああ、あれから一年も経ったんだなぁ」と、改めて時間の経過を思ったのでした。長かったのか短かったのか、よく判らない。でもあれから一年経って、今当たり前のように横浜の試合でスタメンに名前を連ねてサッカーをしている山瀬を見られるのは、ものすごく、ものすごく幸せなことだ。



 一年前の今頃。リーグが中断していたのは、勿論W杯開催期間だったからです。同じ頃、ゆーじさんはドイツで日本代表のユニフォームをつけて、戦っていたんだよね。そんなことを思い出していた矢先、ゆーじさんの公式で、そういう内容の日記が上がっていたので、ドキッとしました。
 それまでの全てをぶつけて戦いに挑んでいた代表。選手の皆さんはそれぞれ、「自分の集大成」ともいうべきものをかけていて。ゆーじさんにとってドイツW杯は本当に長いこと夢に見た頂点、自分の手に掴んで、やっと辿り着いた長い道程の果ての場所だった。代表としてドイツW杯を戦ったのは三試合、思えばあっという間の短い期間だった。
 あの場所に立ち向かった選手にとっては、冒険の期間があまりに短すぎて、圧倒的な敗北の前に、感情がどこか麻痺しただろうなぁと思います。悔しいとか悲しいとかいうような感情に気持ちが練り上げられる前に、その感情の根っこから、欠落してしまった感じなのじゃないかと。少なくとも、私はそんな感じでした。負けて悔しいとか、悲しいとか、そういう感情より、「一体なんだったんだろう」というような、ぽっかりと穴の開いたような気分が残った。
 ただ見ている、応援する立場の私がそうなのだから、選手はその比ではないはずです。だから、ゆーじさんが代表に復帰した時は、すっごく嬉しかったなぁ。代表引退という話が出た時、びっくりして。勿体無いとか早すぎるとか、色々なことを思いましたが、最後には仕方ないと思った。燃え尽きてしまったとしても、誰も彼を責められない。それくらい、あの場所に立つ人達は、それぞれに努力を重ねてきたって判るから*1

 長いこと「夢」に見た場所に、一年前、やっと辿り着いて。だけどその場所で、無残に「夢」を手折られて。ゆーじさんにとっては、この一年は本当に長い一年だったんじゃないかなぁと思うんです。気持ちの中で。


あれから1年…マリノスのキャプテンになり、日本代表にも復帰した。
そして新しい夢を見つけることが出来た。その夢に向かって走り続けたい。

http://www.bomber22.com/blog/2007/06/post_70.html

 代表に戻ると決めた理由について、あちこちの取材で語られていることだけど。そんな言葉ではとても語りつくせないようなものを、一年前に感じただろうし、その感情や経験とどう一年付き合って、折り合ったのか。どんなに言葉を重ねても足りないくらい、色々考えて、思って。そういう中から、もう一度やってみようと立ち上がって、今のゆーじさんがあるんだよね。
 もう一度挑戦しようと思ってくれたことが、私は勝手に、とても嬉しかった。なんか、ゆーじさんが代表に戻ってくれたことを、「おめでとう」とか「嬉しい」とかいうより先に、「ありがとう」って思った。心の底から、ありがとうという気持ちで、嬉しくなった。

 語弊のある言い方だけど、本当は「代表なんかどうでもいいよ」と思っている。別に「代表より横浜だろ」と言いたいわけではなく、「代表に興味がないよ」ということでもなく。彼等が納得して、気持ちよく頑張れていればいいよ、という気持ちなんです。多分。「彼等が納得して、気持ちよく頑張れ」ている先に、活躍が認められて結果として代表に呼ばれるなら、それはとても嬉しいし、「頑張っていってこーい!」とにこにこ応援をするのです。
 またこれから一年経ってどうなっているかなんて、彼等自身にも判らないと思うけど。その一年を、どういう意味の一年にするかは、その人次第なんだよね…。頑張る人には頑張っただけのものが与えられるということだ…*2
 チームとか、ましてや代表とか、そういう色々は結局、後から付いてくるもの。だから彼等には今、横浜できちんと努力して結果を出して、「隙あらばいつでも代表のポジション奪います」という気概で、挑戦していって欲しいなと思います。当たり前のことだけど、それが一年後の彼等自身を作るから。そういう風に前を向く横浜の選手達を、これからも応援させてもらえたら嬉しいなと思うのです。

*1:いや到底判れないくらい、彼等の頑張りは度を越えている域なんだとも思うのだが

*2:書きながら耳が痛い